アイキャッチ物語 #185「春になったら、もういちど」

いつもかわいいと好評頂いているアイキャッチ。ビジネスアカウントのメンバーに頼んで、ストーリーをつけてもらいました。

ほらほら。
ここが天翔山スキー場。
春と秋にも来たよね。

うん。おぼえてるよー。
でも、言われないと知らない場所みたいだね。
一面、真っ白。

草花とか全部この下だからね。
ミスミちゃん、雪ははじめてなんだっけ?
前はどこに住んでたの?

うーんとね、雪が降っても積もらないところ。
これだけあれば、溶けないかな。
やっぱり触ると、水になっちゃうね。

そりゃあ、人間には体温があるから。
ミスミちゃんがそんな薄着でいられるのも…。
ぶぇーっくしょい。

アズマくん。風邪?
私が言うのもなんだけど。
その格好は…その。

うん。寒い。
ミスミちゃんはすごいなぁ。
天翔山って、割りとあったかいけどさ。

雪の冷たさを感じたくって。
生まれて初めてだから、ね。
ひんやりして気持ちいいねー。

えぇ?その程度で済んじゃうの。
俺が寒がりなだけかな。
ティッシュどこだっけ。

はい。ティッシュ。
ふふ、鼻の下、つららできるよ?
はぁ、寝っ転がりたい。

無茶はやめときなよ。
そうだ、せっかくだから滑ろう。
リフトで上に行くと、スキーできるよ。

そうね。スキーもやってみたかったの!
冷たい風を切って進むって気持ちいいだろうなぁ。
草スキーとどっちが面白いかしら?

ああ、スキーは初心者じゃないんだ。
草スキーね。
あれも楽しいよね。

うん。大好き。
子供の頃から友だちと良くやったよ。
でもね。本当のスキーもやってみたくて。

それで翔愛学園に入ったの。
へぇ、じゃあ念願叶ったね。
行こう。こっちがリフト乗り場だよ。

着いた!わぁ、下まで真っ白。
こんなステキな景色、生まれて初めてよ。
一緒に滑りましょう。

ほんとにその格好で滑るの?
やっぱり麓でウェア買えばよかったかな。
いやいや、女の子が平気だって言うのに!

無理しなくてもいいよ?
じゃあ、先に行くね。
崖から落ちるっていうのも楽しそう。

おいおい、怖いこと言うなよ。
待って、そっちじゃない。
寒いけど、行くっきゃねえ!

ねぇ、変な音しない?
風に混じって、ズシーンて。
上の方から聞こえるよ。

さぁ?
あ、コース上の雪だるまは避けて。
冬の精霊がいたずらで置くんだって。

この山にもいるの?精霊。
だから雪景色が綺麗なのね。
それは一度ご挨拶しなきゃ。

あっ!
ミスミ、逃げて。
雪崩が起きてる。

えっ!?
だめ、逃げられない。
幅が広すぎるよ!きゃーっ。

ミスミちゃん!
なんで急に雪崩が…。
返事してくれ!

はぁい。
びっくりしたわ。これが雪なのね。
本物の雪崩に初めて遭遇したわ。

ミスミちゃんの周り、なんで水?
こんな一気に雪が溶けるか?
一体何をやったの。

私の町は雪が積もらないの。
肌に触れると溶けるから。
全部こうして水になっちゃう。

そんなこと言われても。
ねぇ、失礼なこと聞くけどさ。
君って人間?

そうね。失礼かも。
じゃあね。アズマくん。
バレちゃったから、うちに帰る。

帰るって、前の町?
部活とかどうすんの。
一緒に卒業しないと。

じゃあ、春にまた来るね。
もう来たのかって、冬の精に怒られちゃう。
それまで、バイバイ♪

あれ。スキーの最中に、呆けてた。
ここだけ雪が溶けて、花が顔を出してる。
雪割草かな。なんて気が早い。

 

 


 

ミスミ ミスミ 翔愛学園高等部3年生

雪が積もらない町からやってきた。
肌に触れた雪を水に変えてしまう。

アズマアズマ 翔愛学園高等部3年生

転校してきたミスミと同じクラス。
見栄を張って薄着をしてきたことを後悔している。

 

文章:望月明音(ビジネスアカウント)

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