アイキャッチ物語 #215「帰り道、洋館に灯る薄明かり」

いつもかわいいと好評頂いているアイキャッチ。ビジネスアカウントのメンバーに頼んで、ストーリーをつけてもらいました。

ねぇ、ユタカくん。
さっきから一人で美味しそうね。
スナック、私にも頂戴?

手ぇ突っ込んでいいよ。
なんかさー、夜道って怖くって。
スナック食べる音って、気が紛れる。

…おしゃべりをするという選択肢は?
お姉さん、ちょっと寂しい。
ずっとユタカくんの背中ばっかり。

並んで歩けばいいよ。
俺、べつに穂の華ちゃん無視してない。
たこ焼きソース味食べよう。

青のりついてる。
歯につくから苦手なのよ。
次あるとしたら、キャラメル味がいいわ。

うん。OK。
ピーナッツは渡さないけど。
あれを残すやつの気が知れん。

ユタカくん、冷たくなった?
昔なら、私の手にすがりついて。
お姉ちゃん、おばけが出るよーって。

勘弁してよ。そんな古い話。
俺もう高校生だよ。
女と手つなぎで歩けるかって。

頼ってくれなきゃさびしいわ。
だって、私も夜道が苦手だもの。
特に、空が怖いの。

空ぁ?
星が瞬いて綺麗じゃないか。
一体どこに怖い要素あるんだよ。

周囲の家が闇に溶け込んでるじゃない?
だから、空を見ると吸い込まれそうで。
自分がどこに立ってるかわからなくなるの。

そんなものかね。
おし、じゃあ手を出して。
俺が握って捕まえといてやるよ!

手をつなぐの嫌って、さっき言ったのに。
じゃあ、お言葉に甘えて。
ユタカくんの手、こんなにゴツかったっけ。

だから、でかくなったって。
穂の華ちゃんは、変わらないね。
手の甲、相変わらずスベスベだ。

手をつないでくれて良かった。
空が全然怖くないよ。
こうしてると、安心。

そりゃ良かった。
今、星が流れた。見た?
お願いしときゃ良かったなぁ。

あら、見てなかった。
学園祭の成功をお願いしたかったのに。
今日は、荷物を運んでくれてありがとね。

穂の華ちゃんの部、ひどいよなー。
女の子にダンボール5個も運ばせて。
廊下で会わなきゃ、腰痛になってるよ。

こらっ。失礼ね。
私そんなに年取ってないわよ。
もう、知らない。

あれ、手はもういいの?
って、ちょっとちょっと。
いきなり早歩きしないでくれよ。

ふーんっだ。
ユタカくんは、もう大人だもん。
一人で帰れるよね。

何をスネてるんだよ。ガキか。
急に怒られてもわかんないって。
ねぇってば。

ねぇ、そこのお屋敷。
誰か住んでたっけ?
部屋に電気ついてる。

ほんとだ。
電気がパカパカしてる。
停電?それとも電球切れた?

おばけの仕業かも。
ほらほら、見て。
天井に人影が見えるよ。

やめてくれよー。
きっと電球取り替えてんだよ。
おどかそうったって、ダメだからな。

そう?
ほんとにそうと言いきれる?
ほら、ユタカくんの顔が真っ青よ。

こんな暗がりで見えるわけ無いだろ。
道草食ってないで帰ろう。
お隣同士なんだから、行き先同じ。

まーた手をつなぐ。
ホントは怖いんでしょ~。
もう、いつまでたっても子どもなんだから。

だーかーら、子どもじゃないって。
からかうのやめてくれよ。
さっき、年寄り扱いしたの謝るから。

あら、気づいたの。
わかればよろしい。
子ども相手にドキドキしないけどねー。


 

穂の華 穂の華   翔愛学園高等部3年生

ユタカのご近所さん。
子供の頃から姉のようにユタカを可愛がる。

ユタカ 織ユタカ   翔愛学園高等部2年生

穂の華が、実は守られたい女の子と知っている。
今は弟あつかいだけど、頼られたい。

 

文章:望月明音(ビジネスアカウント)

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