いつもかわいいと好評頂いているアイキャッチ。ビジネスアカウントのメンバーに頼んで、ストーリーをつけてもらいました。
「ただいまー!!麦茶だ麦茶ー」
「こらっ。裸足で木登りしたんだから、上がる前に足の裏を洗いなさいっ」
「やかましいなぁ。へいへい。あー喉かわいて倒れそうー」
「もう。ちゃんと用意しといてあげるから、その間に庭で洗ってらっしゃい」
「姉ちゃん女神様!ついでにお菓子もよろしくっ!」
「あらあら。姉をあごで使おうなんて、いい度胸ね?」
「げ、怒った。みおお姉さま、洗ってまいりますっ。こそこそっ」
「あら。卓に冷えた麦茶とお菓子の缶、用意してあるじゃない。おばあちゃんかしら」
「軒下に自転車がないから、どっかに用事かな」
「一人で出かけなくたっていいじゃない。ほら、タオルで水を拭きなさい」
「ありがとー!俺らも遊びに出かけてたんだからおあいこでしょ」
「お買い物なら荷物持ちやるのにな…純が」
「俺だけかよ!あっ。缶の中、乾燥剤しか残ってない!俺のお菓子はどこいった!犯人は誰だ!」
「全部食べてしまったんじゃない?純が」
「犯人は俺か!じゃなくてーじゃなくてー。明日の朝には翔栄町に帰るのにお菓子の食べ納めしたいぞー!あっちじゃ売ってないもん」
「地元銘菓だものね。それはそうと、純。夏の宿題は終わったの?」
「な、なんのことかな。こどもだからわかんない」
「寮に居ると勉強が捗らないって言うから、田舎に来たのよ?ゲームもネットも漫画も絶って勉強しかやることないでしょう?当然、で・き・て・る・わ・よ・ね?」
「えーっとえーっと、自然観察で忙しかったかな」
「河原の石のどれが一番丸いか選手権とか、蝉の抜け殻探しとか、余計なことばっかり夢中になっちゃって」
「つるんつるんの丸い石を見つけると嬉しい。蝉だって、抜け殻の隣で薄い羽根を開いて並んでると面白い!」
「純は楽しいことを見つける才能を持ってるのね」
「カブトムシ探すから、木登りもすっかり得意になった!」
「うんうん。健康的でとってもよろしい。でーも、宿題はどうするの?」
「帰ったら本気出す!」
「うふふ。嘘おっしゃい。ほっぺた、ぎゅーするわよ?」
「ひぃっ。今からやります!やらせていただきます!」
「純は素直でいい子ね。おばあちゃん、まだ帰ってこないね」
「宿題なんてやりたくない。こんなの学生生活の邪魔だー」
「いつか懐かしいと思う日が来るわよ。卒業したら夏休みの宿題なんて無いんだから」
「ほんとかなー?」
「ところで、おばあちゃん。どこかで倒れてないわよね。こんな暑い日に自転車ってことは、日傘もさしてないんでしょうし」
「姉ちゃんは心配しすぎだよ。ほら、農作業用のつば広帽子もないじゃない。あれかぶって出かけたんでしょ」
「だといいけど。行く先もわからないし探しようがないものね」
「あ、外で物音がした。…みおって呼んでない?」
「え?あぁ、金物がぶつかるような音がする。見てくる」
「いてら~。えー毎日の天気を書け?ネット無いから調べられーん。初手で詰まった!無理だ!」
「階段下の新聞を探してきなさい。あ、おばあちゃん。おかえりなさい。どこに行ってたの?…あら。新しいお菓子の缶…」
「お!もしかして切れてたから買ってきてくれたの!?おばあちゃん、ありがとう!」
「純、食べる前に調べ物終わらせようね」
「ちぇ。わかったよ。ネットがないとこんな調べ物もアナログとか面倒くさい」
「ふふ。がんばって。ん?これは宅配便の伝票ね。純あてにお店からお菓子を寮まで直送?あらあら、後でお礼言わないとね」
「お菓子を!?うわ、嬉しい!!」
「きっと純がこのお菓子大好きだからお土産に持たせてくれるのね。でも、宅配便を使わなくても持ち帰るのに。…純が」
「いやいや、一斗缶はかさばるから持てないよ!でも、ちょっと見せて?1缶3キロ入りが…20缶?」
「20缶…」
「どんだけ好きでも食べ過ぎて胸焼けするよ!」
「おばあちゃん、純を喜ばせたくて奮発してくれたのね」
「これもいつか懐かしい思い出…なのかなぁ?」