いつもかわいいと好評頂いているアイキャッチ。ビジネスアカウントのメンバーに頼んで、ストーリーをつけてもらいました。
なに?
口ききたくないんだけど。
康介のいじわる。大きらい。
あーそうですか。
別に俺だって、謝りに来たわけじゃない。
砂の城、壊して帰りたいだけだよ。
はぁ!?
なんで壊すの?
私だって半分手伝ったよねぇ!?
でも、お前とは終わり。
だから、壊す。
ほら、そこどいて。
だめ。
城のバルコニーも、窓も私の担当なんだから。
どれだけ大変だったと思ってるの。
あのね。
誰が日本の城にバルコニー作れって言った?
窓もなにこの鎧戸。和洋折衷じゃねーか。
お城といえば、シンデレラでしょう?
勝手に屋根瓦を掘り始めて!
ガラスの靴を落とす階段作ってるスキに!
石垣を作ってる時点で察しろよ。
じゃあ、俺が作ったとこだけ壊すから。
それでいいな?
ちょっと。
土台に横穴掘らないでくれる?
お城が崩れちゃう!
土台作ったの俺だもーん。
それに、ほっとくと波に流されるから。
お前のプレゼント。
え、なにそれ。
そんなサプライズがあるなら言ってよ!
手伝うわ。
手伝わなくていいよ。
どうせ、お前には不要だろ。
俺ら、別れるんだから。
ちょっとケンカしただけじゃない。
別れるなんて、一度も言ってないからね。
どこに隠してあるの?
そっちからも掘って。
ちょうど真ん中あたりかな。
上が崩れないように、そーっとな。
うん。わかった。
そーっとね。
…あ、何か触った。
こっちも触った。
よし、握手。
これで仲直り。
えー。
プレゼントって嘘?
はぁ、乗せられたぁ。
あっはっは。
ひろみは単純でいいよ。
じゃあ、そろそろ帰るぞ。
はぁい。
今日はいい教訓になったわ。
お互い、もっと歩み寄らないと。
相手が同じこと考えてると限らない。
それがわかっただけ良し。
夏のいい思い出だ。
あ、潮が満ちて来たね。
城が、波に洗われていく。
砂のお城、さようなら。
さて、じゃあ俺のバイクで…。
あれ。鍵がない。
おかしいなぁ。
康介のキーホルダー?
どこにあるかわかるよ。
頭に来たから、城に埋めちゃった。
なにぃ?
お前ほんとつまんないことするね。
…俺らの城、どこに流された?
ひろみ 翔愛学園高等部2年生
文章:望月明音(ビジネスアカウント)