いつもかわいいと好評頂いているアイキャッチ。ビジネスアカウントのメンバーに頼んで、ストーリーをつけてもらいました。
ほらほら。
ここが天翔山スキー場。
春と秋にも来たよね。
うん。おぼえてるよー。
でも、言われないと知らない場所みたいだね。
一面、真っ白。
草花とか全部この下だからね。
ミスミちゃん、雪ははじめてなんだっけ?
前はどこに住んでたの?
うーんとね、雪が降っても積もらないところ。
これだけあれば、溶けないかな。
やっぱり触ると、水になっちゃうね。
そりゃあ、人間には体温があるから。
ミスミちゃんがそんな薄着でいられるのも…。
ぶぇーっくしょい。
アズマくん。風邪?
私が言うのもなんだけど。
その格好は…その。
うん。寒い。
ミスミちゃんはすごいなぁ。
天翔山って、割りとあったかいけどさ。
雪の冷たさを感じたくって。
生まれて初めてだから、ね。
ひんやりして気持ちいいねー。
えぇ?その程度で済んじゃうの。
俺が寒がりなだけかな。
ティッシュどこだっけ。
はい。ティッシュ。
ふふ、鼻の下、つららできるよ?
はぁ、寝っ転がりたい。
無茶はやめときなよ。
そうだ、せっかくだから滑ろう。
リフトで上に行くと、スキーできるよ。
そうね。スキーもやってみたかったの!
冷たい風を切って進むって気持ちいいだろうなぁ。
草スキーとどっちが面白いかしら?
ああ、スキーは初心者じゃないんだ。
草スキーね。
あれも楽しいよね。
うん。大好き。
子供の頃から友だちと良くやったよ。
でもね。本当のスキーもやってみたくて。
それで翔愛学園に入ったの。
へぇ、じゃあ念願叶ったね。
行こう。こっちがリフト乗り場だよ。
着いた!わぁ、下まで真っ白。
こんなステキな景色、生まれて初めてよ。
一緒に滑りましょう。
ほんとにその格好で滑るの?
やっぱり麓でウェア買えばよかったかな。
いやいや、女の子が平気だって言うのに!
無理しなくてもいいよ?
じゃあ、先に行くね。
崖から落ちるっていうのも楽しそう。
おいおい、怖いこと言うなよ。
待って、そっちじゃない。
寒いけど、行くっきゃねえ!
ねぇ、変な音しない?
風に混じって、ズシーンて。
上の方から聞こえるよ。
さぁ?
あ、コース上の雪だるまは避けて。
冬の精霊がいたずらで置くんだって。
この山にもいるの?精霊。
だから雪景色が綺麗なのね。
それは一度ご挨拶しなきゃ。
あっ!
ミスミ、逃げて。
雪崩が起きてる。
えっ!?
だめ、逃げられない。
幅が広すぎるよ!きゃーっ。
ミスミちゃん!
なんで急に雪崩が…。
返事してくれ!
はぁい。
びっくりしたわ。これが雪なのね。
本物の雪崩に初めて遭遇したわ。
ミスミちゃんの周り、なんで水?
こんな一気に雪が溶けるか?
一体何をやったの。
私の町は雪が積もらないの。
肌に触れると溶けるから。
全部こうして水になっちゃう。
そんなこと言われても。
ねぇ、失礼なこと聞くけどさ。
君って人間?
そうね。失礼かも。
じゃあね。アズマくん。
バレちゃったから、うちに帰る。
帰るって、前の町?
部活とかどうすんの。
一緒に卒業しないと。
じゃあ、春にまた来るね。
もう来たのかって、冬の精に怒られちゃう。
それまで、バイバイ♪
あれ。スキーの最中に、呆けてた。
ここだけ雪が溶けて、花が顔を出してる。
雪割草かな。なんて気が早い。
文章:望月明音(ビジネスアカウント)