アイキャッチ物語 #256「君がいないから」

いつもかわいいと好評頂いているアイキャッチ。ビジネスアカウントのメンバーに頼んで、ストーリーをつけてもらいました。

貴也、大丈夫?
辛かったら言ってね。
お兄ちゃんのとこ、戻るから。

あぁ、平気。
中学の頃より元気だよ。
俺、昔より体力ついた。

良かった。
ところで、背が伸びたね。
たった一年で、びっくりした。

ひなたこそ。
顔、丸かったのにな。
犬っころみたいで。

なにそれー!
そんなこと初めて。
ショックなんですけどー?

え、知らないの?
あだな、わんこ。
え、マジで知らない?

どうせ、貴也だけでしょ。
そんなこと言ってたの。
ねぇ、きのこ探してよ。

うん。地面見てる。
来るの遅かったんじゃないかな。
跡形もない。

残念。
登山体験の時はあったのにね。
ほら、中学の。おぼえてない?

さぁ、知らない。
俺、ふもとで寝てたから。
急に貧血起こして。

そうだった!ごめん。
無神経なこと言った。
忘れて、忘れて。

いや、いいって。
いつものことだったし。
きのこ、欲しかった?

んー。特には。
山に来た記念かな。
戦利品、欲しいじゃない。

ふむ、なるほど。
俺は、何もいらないよ。
山に登れて感無量。

良かった。
貴也が喜んでくれて。
最近、凹んでるって聞いたから。

誰に聞いた。
あぁ、母さんか。
またペラペラと。

ううん、お兄ちゃん。
ほら、学校のOBでしょう。
色々耳に入るみたいよ。

一応は楽しんでるけど。
話し相手がいないのが残念かな。
ひなたは、学校が違うし。

そうだと思ってね。
会いに来たんだよ。
ほらほら、目を見て話せるよ!

そんなジロジロ見るなよ。
会えるに決まってるけど。
同じ学区なんだしさ。

うん。
それに、こっちでもね。
いつでも連絡どうぞ。

ああ、まぁな。
ネットでも繋がってる。
それを言いにわざわざ?

うん、押しかけちゃったね。
お兄ちゃん、免許とりたてで。
ドライブ行きたがってたから。

げ、マジか。
もっと早く言ってくれよ。
そんな恐ろしい。

運転、上手だったでしょ?
お兄ちゃん、がんばった。
ここ来て寝ちゃったね。

神経すり減らしたのか。
あとで礼を言わないと。
いや、礼を言われるのこっちか?

ねぇ、貴也?
さっきのは何のフラグ?
私がいないと寂しいなんて。

そこまで言ってない。
図々しいぞ。
これでも喰らえ。

どこ投げてんの?
全然当たらないよー。
あっ!?なにこれ。

ほら、空を見ろよ。
鳥が石に驚いて逃げてく。
たくさん止まってたんだなー。

落ち葉すごい。
ひらひら綺麗。
リアルならではの演出だね。

さて、車に戻るか。
もう起きてるかも。
その葉っぱどうするんだ?

えへへ、持って帰る。
これを戦利品にする。
栞にしたらステキ。

ふーん。
食べられないけどな、それ。
きのこの方がいいよ。

ねぇねぇ。
帰りも山登りの続きしようよ。
きのこ採りに行こう。

ああ、うん。
あっちじゃ同じ学校だな。
天使像前で待ってるよ。


 

ひなた  ひなた  翔愛学園高等部1年生

貴也と同じ年の高校生。
免許をとったばかりの兄がいる。

 

貴也 貴也 翔愛学園高等部1年生

ひなたとは中学が同じだった。

文章:望月明音(ビジネスアカウント)

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