いつもかわいいと好評頂いているアイキャッチ。ビジネスアカウントのメンバーに頼んで、ストーリーをつけてもらいました。
「今日の浜辺は日差しが強くなくていいね。絶好の海水浴びよりー!」
「そう?私、パラソルから離れたくないな」
「葉月~。何しに海に来たの?さっさと柔軟して、水に慣れたら泳ぐよ!」
「やーよ。新しい水着で海に来たかっただけだもん。みなみと違って私は文化部だから体が鈍ってるんです~」
「もぉ、水着を見せたいだけならそれで登校すればいいじゃん。葉月のわがままボディにみんな注目するよ!」
「満に怒られるからダーメ」
「そっか。彼氏さんに怒られるか」
「そうよ。今日だって、みなみと一緒ならいいって許可もらってるんだから」
「あたしは用心棒?こんなスレンダー美少女つかまえて!」
「みなみって同じ年なのにほんと…ううん。ごめんね?」
「憐れむなー。筋トレが趣味なんだからしょうがないじゃない。卒業したらアクション俳優の養成所に入るつもりなんだからいいの!」
「へぇ…。そんな目標持ってたの。初めて聞いたよ」
「子供の頃からの憧れなんだよね!戦隊ヒーロー番組に出るの!」
「目指すはピンクの役?」
「どぉだろ?どっちかといえばムードメーカー的な立ち位置の黄色とかその辺じゃないかな。あはは、紅一点ってキャラじゃないから!」
「未来なんてわかんないよ?運命の恋に目覚めて女子力ぐんぐん上昇するかも!例えば、どんなのが好みのタイプ?」
「そぉだな~。まずはマッチョ。これは重要」
「ふむふむ。一緒に筋トレに励める相方って素敵だね」
「でもー、まさか上着脱いで筋肉見せてなんて頼めないから相手がマッチョかどうか確認するの難しいよ」
「できるじゃない。ここは海よ?」
「なるほどっ!」
「うんうん。だから、何もしないでパラソルの下で過ごしましょう~。決まり~」
「よし、葉月!無人島に移動するよ!」
「どうして?浜辺に居ればいいじゃない」
「ちっちっち。甘い!マッチョなら己の限界を試したくなるものよ!無人島で待ち伏せていれば選びぬかれた真のマッチョが現れるに決まってる!」
「そんなの一人で行ってきてよ。私、ここでメロンソーダでも飲んでるよ」
「いいの?後で彼氏さんに葉月が一人で遊んでたよって報告しちゃうけど。…あたしと同伴が条件だったんじゃないの~」
「うっ。確かに…」
「よっし決まり~!まずは準備体操だよ!」
「なんでそうなるの~」
「年に一度くらい泳いであげないと、葉月の筋肉がかわいそう!」
「人の筋肉を擬人化しないで~。うう、私のメロンソーダが…」
「帰ってきたら飲むべし!」
新しい水着を手に入れたので、水着姿になるためだけに海に来た。
みなみとはクラスメイト。
将来はアクションスターを夢見てる。
葉月のことが大好き。
「今日はいい遠泳日和だな」
「隆史、お前それで泳ぐの?」
「そうだが?何か問題でもあるか」
「いやぁ~漢らしすぎやしないかな。海パンで良ければ俺の貸すよ」
「結構だ。男子たるもの、夏は褌と相場が決まっている」
「いつ決まったんだろう…」
「満、お前のその格好こそなんだ。海中遊泳でもするのか?」
「俺は…その。今日は海に来ない予定になってるから、日焼けできないんだよ」
「ふむ。おかしなやつだ。普段はあらわにしない己の筋肉が日光浴で喜ぶというのに」
「前半の言葉そっくり返すよ」
「おかしくて結構。人はそれを個性と呼ぶ」
「呼ぶかなぁ?…あれ?葉月のやつ、ここに来たはずなんだけど…見当たらないなぁ」
「葉月?誰だそれは」
「隆史さ、友だちの彼女の名前くらい覚えような。胸がでっかい髪が短い子。見てない?」
「すまん。先ほどまで岩場に行っていた。ここに来たのもつい十分ほど前だ」
「そっかぁ。せっかくこっそり水着姿拝ませてもらおうと思ったんだけどな。どこ行っちゃったんだろう?」
「遠泳では?」
「まさか!葉月に限って泳ぐわけがない。あいつ日焼け大っ嫌いだから。ちぇ、素顔を見せないようにシュノーケリング装備で来たのにな」
「それは変装のつもりだったのか。だが、水中マスクはともかくシュノーケリングをくわえて浜辺を歩くと目立つぞ」
「あ、やっぱり?実はしゃべるのもしんどくてさ~。葉月が居ないなら外すかな」
「器用なやつめ」
「ふ~。ああ、空気がうんまい」
「満。せっかくだから沖まで泳がないか」
「えー。やだよ。つかれる」
「だが、ここにいても彼女には出会えんのだろう?無人島の方に行っているのかもしれんぞ」
「だから、俺は海に来てない設定になってるんだってば。お前、脳みそまで筋トレしちゃったんじゃないだろうな」
「せっかくの夏、ここでぼんやりしていてももったいないぞ。俺の筋肉は限界を試したいとうずうずしている」
「うわっ。胸板ピクピクさせんな。気色わりい」
「共にあの水平線を目指そうではないか」
「そうだなぁ。部屋で寝ててもしょうがないか。よし、行こう」
「…お前も褌にならんか?俺ので良ければ貸すぞ?」
「いらんわっ」
こっそり変装して、彼女の水着姿を見物するはずが一足遅かった。
筋トレが趣味で鍛えあげた肉体が自慢。
遠泳するために来たら、不審な行動の満を見つける。