アイキャッチ物語 #51「研究所の高校生、世紀の大発見?」

いつもかわいいと好評頂いているアイキャッチ。ビジネスアカウントのメンバーに頼んで、ストーリーをつけてもらいました。

 

 正月早々呼び出しなんて、瑞穂先輩なんなんですか~。

あら、研究所バイトには盆も正月もないわよ!

そんなブラックな場所に僕はいたんですかぁ?どうせヒマだったし、書類整理でも掃除でもやりますが~。

ふふ、そんな雑用のために呼んだと思ってる?私はね、世紀の大発見をしたかもしれないの。その検証を敬真くんに頼みたいのよ!

世紀の大発見!なんだかすごい響き!!

そう!大人の研究員でも気づいてない世界の秘密を私は見つけた!その名も『理想化フィールド』!!!

…という初夢を見たのさってオチですね。なんですか、その理想化なんとかって。

まず、この写真を見てちょうだい。

女の子が2人写ってるだけですよね。

彼女たち、正月太りを気にして我が研究所に痩せる薬はないかと問い合わせてきたの。

えっ。いや、普通に細いですよ。そんな全然太ってませんって。

そう見えるのよね。そもそもこの街で太ってる人なんて見たこと無いし。でも、彼女たちは悩んでいるのよ。おかしいと思わない?

女子によくある「私最近太っちゃって~」「○子ちゃんスリムだよー」「そんなことないよぉw」とか言うコミュニケーションの一環かもですよー。

私も気のせいじゃないかしらってお返事して、話は終わったのよね。

話が終わったなら、僕が呼ばれた意味ないじゃないです?

でもね、気になるのよ。もしかしたら、私たちの認識のほうが間違ってるのかも。

言ってることがわからんです。例えばどんな風に間違ってると言うんです?

そうね。じゃあ、入学したばかりの子って、見覚えがある子が多いと思わない?

あー。言われてみれば似た子多いですねー。

この街にいると、私たちはパターン化されて、実際の容姿は相手に見えないのかも。だから、似た子が多いし太ってても痩せて見えるの。

なんですかそれ。じゃあ僕らは相手の本当の姿を見たことがない?そんなばかな。

そう!それこそが『理想化フィールド』!!!私たちは理想的な姿をお互いに認識している!!!

ということは!瑞穂先輩も美女じゃない!?なんてこった!!

そっちじゃない!私は元から美人ですっ。

…という世迷い言を…。

もー茶化さないで!その世紀の大発見で大人を驚かせて、高校生バイトの地位向上!いつまでも書類整理なんて嫌よ!

瑞穂先輩、すごいところに目をつけましたね。末は博士か大臣か!

ふふふ、お世辞はよして。

その『理想化フィールド』をどうやって証明するか。難しそうだけど、やりがいありそうですね!

証明だけじゃないわ。将来、『理想化フィールド』を自在にオンオフできれば、私たちはお互いの本当の姿をみることができるようにもなるのよ。

オンオフですか?それはちょっと困るかな。

どうして?

そのままじゃ、だめですかね。僕、この顔が気に入ってるんで他の人にはコレで認識してて欲しいですよ。

ふむ…。現実が必ずしも最良じゃないと?

この街のなかでくらい理想の僕らでいましょうよ。仮に『理想化フィールド』を見つけても、そっとしておいたほうがいいです。

でも…。オフできたら本当の姿で今よりもっと親しくなれるのよ。

僕の友だちに一年じゅう貝殻水着姿のやつがいるんですがね、それをリアルで見るとキツイんじゃないかな。

それは、おまわりさんが必要な光景ね。

察してくれて良かったです。

理想化されてるから許せるものも、確かに存在するわよね。

理想化はこの世界の良心ですよ。誰だって美しいものを見たいですよね。

わかったわ。仮に『理想化フィールド』を発見しても、この研究所内だけの秘密にしておきましょう。

あー、ひょっとすると大人たちもとっくに研究したのかも。それで、隠してる。

可能性はあるわね。はぁ、私たちはまだまだ大人の手の中にいるのね。


瑞穂

瑞穂 翔愛学園高等部3年生

研究所の高校生アルバイト。大人の研究員に言われた通りに実験してレポートを提出したり、資料の整理をやっている。

 敬真

敬真 翔愛学園高等部1年生

高校生アルバイトの一人。入って日が浅いので、瑞穂の下で手伝いをやってる。

 

 

 

文章:望月明音(ビジネスアカウント)

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