アイキャッチ物語 #43「心はいつでもお姫様」

いつもかわいいと好評頂いているアイキャッチ。ビジネスアカウントのメンバーに頼んで、ストーリーをつけてもらいました。

 

陽児ったら、そのリボンどうしたの。

これは俺の決意のあらわれ!俺は今日から姫になる!

ひめ?お姫様?

ゆうべ、親戚が集まってクリスマス会やったんだよ。そこに9歳と6歳の姉妹も来てたの。

うん。それから?

姉はジュースこぼしても放置だし、妹は俺のスパゲッティにフォーク突っ込んでかき回して勝手に食うんだな。

親は叱らないの?

大人たちはビンゴに夢中。俺が掃除したんだけど、その後も俺のピザを食い散らかす妹にポップコーンをこぼしながら食う姉。

あらら。大変だったね。

ここはお兄ちゃんとして怒ってやらねば!と姉妹を呼びつけて注意したら大泣きされて、うちの親が飛んできたんだな。

小さい子を泣かしたって怒られるパターン?

まーそんなとこ。俺、一晩じっくり考えたね。そしてわかった。やつら、自分が悪いなんて思ってない!

話をきいてたら童心にかえりそう。私も悪気なくやってたかも。

お前らどんだけフリーダムに生きてんの?て、それでも周囲から愛されてる自信があるんだろーなって目眩がした。

うんうん。そのうち世間がわかってきて見た目を取り繕い始めるのよね。

あいつらは姫だ。泣けば誰かが飛んできて、擁護してくれるのが当たり前のお姫様だ。羨ましいから、俺も姫になる。

それは飛躍しすぎでしょー。

だけど、嫉妬するほど羨ましい!俺だって、みんなに愛されて当然だって顔して生きてやる!

それでリボンねぇ。べつに服装はお姫様に関係ないんじゃない?

見た目が可愛いに越したことない。

うーん。…そういえば、喉かわいたけどジュース買ってきてよ。

えぇ?自分で行けよ。

紀美、今日の靴おろしたばっかりで踵が痛いんだよね。

しょうがないな。じゃあ、ついでに保健室で絆創膏もらってきてやるよ。

ほら、陽児はお姫様になれないよ。

は?

尽くすのが好きな人は、相手をお姫様にしちゃうの。きっと姉妹のお世話をせっせとしてたんでしょう?

ふーむ。確かに、連中のお世話係にされてたよーな気がする。陽児がいるから安心ね♪とか言って。

陽児には姫より執事が似合うんじゃない?みんなに愛される姫か、たった一人の主に愛される執事か…。

そう言われると執事もいいな。明日から懐中時計を身につけよう。

まーた形から入るのね。そのうち紀美の執事見習いにしてあげる。

なんで紀美の。

だって女の子は生まれた時からお姫様だもの。紀美も心のなかでは、いつでもお姫様よ。


紀美

紀美 翔愛学園高等部3年生

陽児のクラスメイト。
普段から会話の聞き役にまわるけど、心のなかではいつも主役でお姫様。

 陽児

陽児 翔愛学園高等部3年生

なんでも形から入りたがる男の子。
人に尽くすのが割りと好きかもしれない。

 

 

 

文章:望月明音(ビジネスアカウント)
背景:逢坂イチカ(ビジネスアカウント)

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