アイキャッチ物語 #206「妖精の国から来た少女」

いつもかわいいと好評頂いているアイキャッチ。ビジネスアカウントのメンバーに頼んで、ストーリーをつけてもらいました。

 

ごきげんよう。
ここの花畑は花盛りですね。
あなたが世話をしているの?

いや、俺はたまたま。
他の人が世話でもしてんじゃない?
いい天気だし、昼寝するかなー。

あっ、いけません。
羽根が痛みますよ。
寝るときはうつ伏せに。

そっか、羽根があったな。
よし。取れた。
昼まで寝るぞー。

取ってしまった…。
あなた、気は確かですか?
羽根を失えば、妖精じゃなくなるのに。

まぁね。
腰巻き一枚で歩くと問題あるね。
春だから変なの出たって言われそう。

違いますよ。
羽根は妖精のアイデンティティです。
もっと大事に。

はいはい。
妖精になりきってんだね。
俺は暑いから着てるだけ。

なりきる?
なんですか、失礼な。
私はすず。立派な妖精です!

わぁ…。
春だなぁ…。
んじゃあ、おやすみぃ。

あっ、羽根が風に飛ばされますよ。
この羽根、やけに重い。
これで飛べるんですか?

ちょっと静かにしててくれ。
こっちは寝てんだから。
それで飛ぶわけないだろ。

羽根はただの飾りですか。
かわいそうに。
同じ妖精なのに。

はいはい。
役になりきってるんだね。
良い子はおうちにおかえり。

おうち、帰れないんです。
見合い相手が待ち構えてて。
家の前に家を建ててしまったんです。

家?そりゃ、熱心だ。
丁重にお断りすれば?
きっとわかってくれるよ。

そうでしょうか。
今日こそはいい返事を!って。
朝から追いかけてきてるんです。

そりゃ、かわいそうに。
俺なら、そいつ殴り飛ばすね。
可愛い子いじめんな!ってさ。

ほんとうに!?
私を守ってくださるのですか!
ありがとうございます!

その相手が実在すれば、だね~。
空想の中じゃ俺も最強クラス!
たとえ多勢に無勢でも相手してやるよ。

なんて頼もしい!ステキ!
あっ、東の空を見て。
あいつがやってきた!

へっ!?
なんじゃありゃ。
大量の虫!?

ミツバチです。
普段は温厚だけど、たまに攻撃的で。
数億の仲間がいるんですよ。

数億…だと。
おい、こっち来んな。
あんたも手を振るな!

え、だって。
あなたが足止めしてくれるって。
このスキに帰って引っ越しします。

いや、だから。
相手が虫とか聞いてねえし。
あっ、飛んで逃げやがった!


 

すず すず

妖精を名乗る女の子。
見合い相手から逃げていると言う。

ヒロヤ ヒロヤ  翔愛学園高等部2年生

春がきたので、薄着にしてみた。
肉体美をアピールできる腰巻き一枚。

 

文章:望月明音(ビジネスアカウント)

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