アイキャッチ物語 #250「あさりを飼いたい」

いつもかわいいと好評頂いているアイキャッチ。ビジネスアカウントのメンバーに頼んで、ストーリーをつけてもらいました。

早人、早人。
あさり、いっぱい取ろうね!
競争だよ。

香苗、楽しそうだなぁ。
そんなに砂掘りが面白いか?
俺、飽きてきたわ。

もー。そんなこと言わない。
あさりをたくさん捕まえるの。
このバケツにいっぱい!

バケツに半分もあれば十分だろう。
そんなにあさり好きとは知らなかった。
いつから好物になったんだよ。

好物?
やだなぁ、食べないよ。
あさりを飼うの。

飼う!?
やり方知ってんのか?
暗がりで一晩放置とはわけが違うぞ。

それ、食べる前の下準備でしょう。
そうじゃなくって。
あさりをペットにするの。

ペットったって。
誰に教えてもらうんだ。
アテはあるのか?

うん、あるよ。
食堂のお姉さん!
あさりのこと、よく知ってるんだって。

あの人なぁ。
そりゃあ、詳しいだろうよ。
持っていったら料理されるぞ。

えー!?
それは困るよ。
じゃあ、生物の先生に聞く!

生物の先生なら、大丈夫か?
おっと、目に汗が入った。
ハンカチどこだっけ。ポケットか。

ねぇ、早人も手伝ってよ。
私だけじゃ間に合わないよ。
ねぇってばー。

えー、やだよ。
食べられないなら、手伝わない。
どうせ俺の分も取り上げるんだろ。

少しなら食べてもいいからー。
ねぇってば、やろうよ。
じゃないと、お兄ちゃんに言いつける。

ちっ、わかったよ。
香苗はすーぐそれだ。
このブラコンめ。

ブラ?
やだ!どこ見てんの?
えっちー!!

そっちじゃねえよ。ばか。
あ。生物で思い出した。
砂浜のクラゲは触るなよ。

クラゲ?
なんでなんでー?
可愛いじゃない。クラゲ。

猛毒持ってるやつもいるから。
素手では絶対に触るなよ。
なにニヤけてんだ。

へへ~。
クラゲ、飼ってみたいな。
拾って帰っちゃだめかな。

おい、人の話を聞け。
猛毒があるんだよ。
要らないものだから、構うな。

そんな言い方ないよ。
クラゲだって生き物だよ。
要らないなんて、可哀想。

特に、ビニール袋みたいなやつ。
カツオノエボシってクラゲは危険だ。
ゴミと間違えて拾う恐れがある。

え?
今、拾ったよ。
ビニール袋。

なんだとー!?
おい、それを捨てろ!
病院行くぞ、病院!

大丈夫だよ。
中身、お財布だから。
誰かの落とし物かな。

あっ!?
それ、俺の財布!
ハンカチ出した時に落としたんだ。

早人のお財布?
なんでビニール袋に入れてるの。
ゴミかと思っちゃった。

防水仕様のつもりだけど。
お札が濡れたら困るから。
わかったら返せよ。

えー、やだ。
要らないものって言ってた。
これは香苗がもらうね。

おーい。
それはクラゲの話で。
ジュースおごるから、返せって。

ジュースより、水槽がいいな。
あさりをたくさん飼うの。
大きく育てるんだ♪

ああ。わかったよ。
水槽は高いから、金物屋に寄ろう。
安い鍋で十分だろう?

鍋かぁ。
うん、いいよ。
あさりを観察できるなら。

あさりを飼う場所が必要だな。
俺の部屋に置いていけよ。
ちゃんと世話してやるから。

生き物のお世話できるのー?
あっ、コンロにかけちゃダメだからね!
お兄ちゃんに言いつけてやるからっ。


 

香苗 香苗  翔愛学園高等部2年生

普段から、ぼんやりしている。
一歳年上の兄がいて、可愛がられている。

 

早人 早人 翔愛学園高等部2年生

幼馴染の香苗や、彼女の兄とは仲がいい。
香苗とは、会話が微妙に噛み合わない。

文章:望月明音(ビジネスアカウント)

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