【連載】仮想世界の暮らし方 第12回

挑発される自分

平穏にすごしたいと思っていても、思いがけず挑発的な言葉を投げかけられる経験は、誰にでもあると思います。そんな時、自分はどのように対処すればいいのでしょう。

その時、自分は何もしていないのに、一方的に不快な言葉を投げかけられたと感じるでしょう。相手の言動が理不尽であると感じ、相手をなんとか黙らせたい、反省させたいと思うかもしれません。
相手の挑発に乗って、感情的になってしまえば、相手と同じレベルです。状況を冷静に把握するために、心に余裕を作ることをまず一番に考えてください。

レベルという言葉を使いましたが、立ち位置の上下、目線の高さのようなものをイメージしてください。挑発されたあなたは、雲の上にいます。そして、挑発する相手は、地上の世界にいます。
あなたには、もともとそのような上下意識はなかったことでしょう。もちろんそれでいいんです。この上下意識は、挑発してくる相手の中に、無意識に作られたイメージです。
こちらが何もしていなくても、相手は「見下されている」「バカにされている」という意識を自分の中で作りだし、相手を自分と同じ地上に引きずり降ろそうと、挑発的な言葉を投げかけてきます。

挑発されたあなたは、相手の上下意識に配慮する必用があります。普段以上に上から目線にならないよう、慎重に言葉を選んでください。同情心も禁物です。同情心が見えると、相手の中にある「見下されているイメージ」を強くしてしまいます。
もう一つ、状況分析は相手を論破するための策略を巡らせるために行うのではないことに注意してください。相手の思考を先読みしたり、弱みを見つけて論破しようと考えたりせず、あくまで真摯に対応して下さい。もし勝ち負けを考えてしまったら、あなたは既に地上に引きずり降ろされています。

相手が感じている立ち位置の違いをイメージできたら、相手が攻撃的になる理由も察しがつくでしょう。つまり、あなたが無言でいることすら、相手にとっては上から見下ろされているようなプレッシャーになっています。相手にとって、あなたは「何もしていない」存在ではなく、高いところから見下ろしている傲慢な存在に見えています。

このような立ち位置の違いは、そのまま価値観の違いであり、感情の温度差でもあります。ここに差があるままでは、話し合いで諍いを解決することはできません。かといって、自分が相手と同じポジションに降りていくこと(挑発に乗ること)は、もっと不毛です。
これは、難しいことですし、時間もかかることです。本当に解決するためには、相手の劣等感や嫉妬心をとり除き、同じ世界にいることを実感させてあげることが必用でしょう。

なんとか引き上げてあげようと考えるのは、同情心であり禁物です。
なんとか黙らせようと考えるのは、傲慢です。

もし、対話するのであれば、相手の考え方、相手の価値観を、ゆっくり聞いてあげるようにして下さい。
相手の気持ちを理解する方向に踏み込めば、相手は寂しくて、かまって欲しいことに気づくと思います。でも、それを言い出せない気持ちに苦しんでいるはずです。

私は、誰とでも仲良くしろと言うつもりはありません。「仲良くしてあげよう」、「かまってあげよう」という発想は、既に同情を含んでおり、上から目線の罠に陥っています。
同情するくらいなら、仲良くしなくてもいいと思います。不毛な争いを回避するために、関わり合いを避ける対応をとってもいいと思っています。

ただ、相手の価値観が許せないために無視することと、相手の価値観を尊重して干渉を避けることには、大きな差があることを理解して下さい。これを読んだ皆さんには、自分が相手の価値観を尊重しているかどうか、落ち着いて考えて頂きたいと思っています。

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