【連載】仮想世界の暮らし方 第10回

不完全なコミュニケーション

コミュニケーションと言われると、文字や言葉のキャッチボールをイメージしがちです。しかし、文字や言葉を持たない動物だって、コミュニケーションをとることができます。飼い主とペットの間はもちろんそうですが、犬同士、猫同士もコミュニケーションをとっているように見えます。

人類が言葉を発明したことにより、コミュニケーションは大幅に効率化しました。また、文字を発明したことにより、次の世代や遠くの人へメッセージを届けることができるようになりました。そして、情報革命により、更に時間と空間を縮めようとしています。東京と大阪に離れた恋人同士が、LINEで一言メッセージを送ると、すぐに返事が帰ってくる。このようなシチュエーションが当たり前になったのは、ここ数年の出来事です。

時として未来の技術は万能に思えるものです。情報革命によって、魔法のようなコミュニケーションが実現されたと誤解していませんか?確かに、時間と空間の短縮については魔法のようなと言えます。でも、ITによるコミュニケーションは決して万能ではありません。メールなどのやりとりでは、意思疎通がうまくいかないと感じる人は多いと思います。もちろん、電話や対面の会話の方が、意思疎通がスムーズな経験は私にもあります。でも、ちょっと待って下さい。例え対面であっても完璧な意思疎通なんてできておらず、できたつもりになっているだけではありませんか?
そもそも言葉でいくらコミュニケーションを重ねても、相手の本当の心の中はわからないのですから。

対面でのコミュケーションは、表情や微妙なニュアンスが伝わるから、意思疎通しやすいということは良く言われます。それでも完璧には程遠いと思います。言葉によるコミュケーションは不完全なので、表情や身振り手振りで補完して、なんとかコミュニケーションをとってきたのです。
にもかかわらず、「話せばわかる」というように、言葉で完璧にコミュケーションがとれているつもりになっている人が多いように思います。そして、その人は言葉を文字に置き換えても、ちゃんとコミュニケーションがとれていると誤解してします。そこに大きな落とし穴があるような気がします。

対面で会話することで、きちんとコミュケーションできているという錯覚は、どうしておこりやすいのでしょう。それは、対面でコミュケーションしている時に、両者の会話が共通体験をベースにしていることが多いからではないでしょうか。例えば対話する者同士が同じ場所にいて、同じ夕日をみており、その夕日について語り合うとかですね。

つまり、共通体験をベースにしたコミュニケーションは、意思の疎通がはかりやすく、遠隔でのコミュケーションは共通体験をベースにしていないため、不完全なものになりやすいと考えます。

キャラフレは、同じ背景に同じアバターを見ながら話します。そして、イベントやストーリーといった共通体験を元にした話題も見つけやすくなっています。キャラフレで親密な友だちを作りたいと思ったり、楽しく会話したいと思ったら、ぜひゲームの中で共通に体験できるイベントやストーリーについて語り合ってみてください。リアルな自分の身の回りの話題は、相手が体験していないことなので、共感してもらうために一定の会話スキルが必要です。ゲーム内の話題であれば、共通体験がベースになるので、より簡単に会話が盛り上がることと思います。

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