ログミーに掲載された和訳です。『薬物中毒もスマホ依存も原因は同じ 多くの人が間違えている、中毒者への正しい接し方とは』 元記事はこちら。
主に、薬物中毒について語られていますが、スマホ依存にも言及されていますので、読んでみましょう。
まず、中毒に関して一般の人が持っている知識の間違いについて語られます。
一般的に、中毒性のある薬物を一定期間摂取し続けると、人は中毒になると信じられています。しかし、交通事故で腰の骨を折って、医療機関で大量のジアモルフィン(ジアセチルモルヒネ=ヘロイン)を投与されても、治療後に中毒にならないということです。つまり、中毒の原因は他にあるのではないかと考えられるわけですね。
※日本の医療ではヘロインが使われていないようですが、ヘロインの元になるモルヒネが使われていることはよく知られていると思います。
中毒の原因が薬物そのものにはないことについて、バンクーバーのブルース・アレクサンダー教授による面白い実験が紹介されています。
ネズミをケージに入れ、2つの水のボトルを設置します。1つはただの水、もう1つはヘロインかコカインを混ぜたものです。
これをした場合、ほとんどの場合ネズミは薬物を含んだ水を好み、早くに死んでしまうのです。そういうことです、ね? そうなると私たちは思っています。
70年代、アレクサンダー教授はこの実験を見てあることに気が付きました。彼は、「私たちはネズミを空っぽのケージに入れている。薬物を使う以外他にやることがない。何か別の方法を試してみよう」と言ったのです。
そこでアレクサンダー教授は、「ネズミの公園」と名づけたケージを作りました。
これはネズミにとっては天国みたいなものです。たくさんのチーズや、色の付いたボール、たくさんのトンネルなどが中に入っています。
そして決定的に、たくさんの仲間が一緒に入れられました。つまりたくさん交尾をすることができます。
そして普通の水と薬物の混ざった水の両方が設置されました。ここからがすごくおもしろいところなんです。
ネズミの公園では、ネズミは薬物入りの水を好まなかったのです。全くと言っていいほど、ほとんど飲まなかったのです。
1匹も止むに止まれず使おうとした物はいませんでした。過量投与した物もいません。
孤立していた時の過量投与ほぼ100パーセントから、幸せで他の仲間とつながりあえる環境では0パーセントになったのです。
とても面白い実験ですね。
他にも、いくつかの事例を混ぜて説明されていることは、
中毒の核心には、私が思うに、そして証拠が表しているように、人生に存在意義を見いだせないということなのではないかと思うのです。
そして、中毒の問題を解決するには、社会とのつながり、人とのつながり、を考えるべきと続きます。
薬物中毒者について考えることは、私たちにとっては少し遠い世界の話に感じるかもしれません。しかし、スマホ中毒については、親から小言を言われたり、実際に取り上げられたりして、身近な問題になっている人も多いでしょう。
心理学では、原因ではなく目的を考えるというアプローチがよくとられます。
スマホ中毒の原因はスマホにあるのではなく、現実で社会とつながることができない人たちが、つながりを求めて依存する目的にあると考えるのは、納得のいくことです。
子どものスマホ中毒をなんとかしたいと考える親御さんは、スマホを禁止しようとせず、子どもと周囲のつながりについて考えてあげて頂けないでしょうか。