【連載】仮想世界の暮らし方 第1回

ネットは空想補助ツール

21世紀に入り、世界が大きく変わったことはなんでしょう?
宇宙旅行も人工知能も実現していませんが、いつでもどこでも繋がっていることが当たり前のネット環境は、20世紀には無かった技術です。電車の中で、誰もが手のひらサイズの高精細ディスプレイを見つめ、刻々と変わる情報を収集している。その風景は、NTTドコモからi-modeが登場する1999年頃までは、誰も想像していませんでした。

今では生活と切り離せなくなった、そのディスプレイ=スマートフォンは若年層へ普及を拡げ、中高生にも行き渡ろうとしています。ネットワークへの入り口となるPCやスマホは、子ども達の必携ツールであったゲーム機を駆逐し、オンラインゲームやソーシャルゲームがブームになります。意外にも、ゲームに飛びついた大人が多かったため、ビジネスモデルとして成立しました。PCを使ったMMORPGや、携帯電話を使ったカードバトルなど、ここを読んでいる皆さんなら、一つや二つ或いはそれ以上、経験があることでしょう。それらのゲームを経由して、同じようにアクセスしている遠隔地の人たちとコミュニケーションをとりながら遊ぶ点が、携帯ゲーム機との違いです。

もっと小さな子どもに目をむけると、パソコンやインターネットがなくても、空想世界を自由に駆け回っていますね。
幼い子どもが、空想世界へアクセスするツールと言えば、絵本が真っ先に浮かびます。絵本が無かった時代は、お母さんの寝物語があり、もっと歴史をさかのぼれば、民話や伝承へと辿り着きます。子ども同士が集まれば、ママゴトやごっこ遊びの仮想空間で戯れます。小さな子どもは一人ぼっちの時も、脳内の空想世界を自由に駆け回っています。

空想力は、成長に伴って少しずつ失われていくようです。そうなってくると、空想補助ツールとしてのネットが重要な意味を持ってくるように思います。一部、大人になってからも空想力を発揮し続けられる人達は、その能力を才能として職業に活かしています。小説/映画/アニメ/コミックスなどのクリエイターとして活躍したり、芸術家や音楽家として生きる人達も、空想力をいかんなく発揮しているでしょう。そうやって作られた作品もまた、一つの空想補助ツールとして次の世代へと受け渡されます。

私も子どもの頃から、アニメやコミックなどの力を借りたり、或いは脳内で自由に物語をつくったりして、空想世界に身を委ねるのが大好きでした。そして、年齢と共に失われる空想力を補うための、空想補助ツール=ネットの魅力にとりつかれました。

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